「色の心理学」を中心に、五感を磨くメニューをご用意しているカラースクールです。
場所は、交通の便のよい京都の中心街。遠方の方には、オンライン授業のご用意もあります。
色彩心理カウンセリング協会 京都校も兼任。協会オリジナルのアイテムを使った講座もご受講いただけます。
色とお香を組み合わせた『彩り香®』の、香楽師養成講座・Zoom体験も、ここでしか受けられないオリジナルメニューです。

 京都市下京区因幡堂町651

 mail@taa-color.com

  1. T.A.Aのカラフルブログ
  2. 王のパープル、愛のバイオレット
 

王のパープル、愛のバイオレット

2026/04/27

虹の端っこに隠された「もう一つの紫」

バイオレット


前回は、1万個の貝を犠牲にして作られた、皇帝の色「パープル」をご紹介しました。

今回は、そのお隣にありながら、全く違う運命を歩んできた色、「バイオレット(菫色)」の物語です。

実はこの2色には、科学的にも歴史的にも、驚くほどの「差」があるのです。


虹に「ある色」と「ない色」


まず最初に、バイオレットは虹の中に実在しますが、パープルは存在しません。

「え?」と思われるかもしれませんね。

バイオレットは、太陽の光がプリズムを通ったときに現れる、波長が最も短い「本物の光」です。

一方のパープルは、脳が「赤」と「青」を混ぜて作り出した、いわば「想像上の色」なんです。

私たちは、同じ『紫』として、その意味をとらえていますが、そんな大きな違いがあるんです。


17世紀、科学者アイザック・ニュートンがプリズムを使った実験で、太陽光を7色(虹の色)に分けた際、波長の最も短い端の色を「バイオレット」と命名しました。

バイオレットという色名が、歴史上、決定的に「パープル」と切り離されたのは、この時からといえるでしょう。

バイオレットは「花の名前」から「物理学的な光の色」という科学的な定義を与えられたのです。



14世紀、詩人たちが名付けた「スミレの色」


「バイオレット」という名前が文献に登場するのは14世紀後半、中世のイギリス。

シーザーが法律で「パープル」を独占した時代から1000年以上経ってからのことです。

スミレの花は、ラテン語で植物の総称「Viola(ビオラ)」から、ヴィオラと名付けられました。

中世の詩人たちは、野に咲くスミレの可憐な姿から、その青みの紫の花色を「バイオレット」と呼び始めました。

権力者のための色名ではなく、詩人や芸術家たちの手によって、この色は名前を与えられたのです。

パープルが「支配」を象徴するなら、バイオレットは「謙虚さ」や「愛」を象徴する、民衆に近い色といえます。





ナポレオンと「秘密の暗号」


歴史的なエピソードとして、バイオレット(スミレ)を愛したのがナポレオンです。

彼が流刑地に送られた際、復活を信じる支持者たちは、スミレの花を「秘密の暗号」にしました。

「スミレが咲く頃、彼は帰ってくる」。

街角でスミレ色の小物を身につけている人を見かけたら、それは「私はナポレオンを支持している」という無言のメッセージ。

パープルが「見せびらかすための色」だったのに対し、バイオレットは「心を通わせるための色」だったのです。


印象派が恋した「バイオレットの影」


19世紀、芸術の世界でもバイオレットは革命を起こしました。

画家クロード・モネは、影を黒ではなくバイオレットで描きました。

「空気には色がある、それはバイオレットだ」と彼は語りました。

それまで、影はただの暗闇(黒)でしたが、モネによってバイオレットの光が吹き込まれ、世界はより鮮やかに、神秘的に見えるようになったのです。


力強く、圧倒的なカリスマ性を持つ「パープル」。

繊細で、知性と神秘を感じさせる「バイオレット」。

どちらが良い、ということではありません。

皇帝のような情熱が必要な日もあれば、ナポレオンの支持者たちのように、ひっそりとスミレの花に想いを託す日もあるでしょう。


紫色が好き、とおっしゃる方は、とても多いです。

あなたが気になるのは、貝から生まれた王の色でしょうか?

それとも、虹の端っこに咲くスミレの色なのでしょうか?




カラースクールT.A.A
フジタ でした