「色の心理学」を中心に、五感を磨くメニューをご用意しているカラースクールです。
場所は、交通の便のよい京都の中心街。遠方の方には、オンライン授業のご用意もあります。
色彩心理カウンセリング協会 京都校も兼任。協会オリジナルのアイテムを使った講座もご受講いただけます。
色とお香を組み合わせた『彩り香®』の、香楽師養成講座・Zoom体験も、ここでしか受けられないオリジナルメニューです。

 京都市下京区因幡堂町651

 mail@taa-color.com

 

T.A.Aのカラフルブログ

自分の中の 好きな所も嫌いなところも
自分の中のステキなところもダメなところも
自分の中の見せたい所も隠したい所も

自分で気づいて 自分の中に受け入れる・・・・・
そうすることで 前に進めるのだと思うのです
      T.A.A
Talk(話して) Awake(気づいて) Accept(受け入れる)
     
カラースクールを始めるにあたって
初めてアメブロに綴ったこの思いは
今も変わりません

色も香りも
自分の周りのすべてのものをツールにして
自分の未来は自分で開く
そんなあなたを応援したい
2026/06/25

「オフホワイト」の謎と、自然を愛した若者たちの物語

Off White

「オフホワイトという色は、色の世界には存在しない」と言われたら驚きませんか? 
「えっ、お店でよく見るよ!」と思いますよね。
今回は、そんな不思議なオフホワイトの正体と、ある歴史的な文化運動との深い関わりについて、優しく紐解いていきましょう!

実は色の名前じゃない!?「オフホワイト」の正体と始まり



まず最初の驚きは、「オフホワイト」は特定の1つの色を指す名前ではないということです。

「オフホワイト」という言葉が英語圏で使われ始めたのは、今から約100年前、1920年代(20世紀初頭)のことだと言われています。 
第一次世界大戦が終わり、新しい時代のファッションやインテリアが流行し始めた頃のこと。
「真っ白ではない、ニュアンスのある白」を表現するために生まれた言葉です。

カラーパレット(色見本)をいくら探しても、「これが100%正確なオフホワイトです」という定義はありません。
なぜなら、オフホワイトの「オフ(off)」には、「〜から少し離れた、外れた」という意味があるからです。

つまり、オフホワイトとは色の名前ではなく、純白(ピュアホワイト)から、ほんの少しだけ他の色が混ざって、まぶしさが抑えられた『白っぽい色全般』を指すカテゴリーの言葉なのです。

もし、私たちが「純白」の服ばかりを着ていたら、まぶしすぎて日常では少し浮いてしまいますよね。

肌馴染みがよく、誰にでも似合う「ちょっと他の色が混ざった、扱いやすい白」をまとめて便利に呼ぶために、この言葉がこれほど広く使われるようになりました。



オフホワイトと呼ばれる色は、いくつあるの?




「純白から少し外れた白」がすべてオフホワイトなら、その種類は一体どのくらいあるのでしょうか?

答えは、「人間の目では数え切れないほど無限にある」です。 
ほんの少し黄色が混ざれば温かい白に、青が混ざればクールな白に、グレーが混ざれば落ち着いた白になります。

その無限のグラデーションの中から、私たちがよく知る名前がついた「代表的なオフホワイト」をいくつかご紹介します。

  • アイボリー(象牙色): 象の牙のような、少し黄みがかった高級感のある白。
  • ミルクホワイト(乳白色): 牛乳のような、まろやかで優しい白。
  • エクリュ(フランス語で「未加工の」という意味): 生地の原料そのものの、少しグレーや茶色が混ざった白。 
  • オイスターホワイト(牡蠣色): 剥いた牡蠣の身のような、少し青みやグレーが入った都会的な白。
このように、自然界にある「白っぽいもの」の名前がついた色が、すべてオフホワイトという大きな家族のメンバーなのです。




「生成り色」とニューエイジ運動




オフホワイトの仲間の中に、日本でも古くから愛されている「生成り色(きなりいろ)」があります。
これは、綿(コットン)や麻(リネン)の繊維を、化学薬品で漂白(ブリーチ)する前の「植物そのままの、少し茶色がかった温かい白」のことです。

実はこの生成り色、1960年代後半から1970年代にかけて世界中で巻き起こった「ニューエイジ運動」という文化・思想の波と、切っても切れない深い関係があります。


☆ニューエイジ運動とヒッピー文化


当時、世の中は工場でたくさんのモノを大量生産・大量消費する時代を迎えていました。街には化学物質が溢れ、自然がどんどん破壊されていく。
そんな社会に対して、当時の若者たち(ヒッピーと呼ばれた人々など)はこう声を上げました。

「もっと地球に優しく、自然のまま、人間のありのままの姿で生きよう!」

この「自然に帰ろう」という精神が、ニューエイジ運動の大きな柱でした。

☆漂白しない「生成り色」が、平和のシンボルに


彼らは、化学薬品で真っ白に漂白された均一な服を拒み、あえて植物の殻の粒が残ったままの、加工されていない「生成り色」の綿や麻の服を好んで着ました。
彼らにとって、オフホワイトの一種である「生成り色」を身に纏うことは、単なるおしゃれではありませんでした。
それは、「私は地球環境を大切にし、自然とともに平和に生きていく」という、無言の強いメッセージ(意思表示)だったのです。

現代の「オーガニックコットン」や「エコ」の原点は、まさにこの時代のオフホワイトにあったと言えます。



現代のファッションとオフホワイト・・・「抜け感」の主役へ




そんな歴史を経て、現代のファッションにおいて、オフホワイトはなくてはならない王道のカラーになりました。

今のファッションでよく使われるキーワードに「抜け感」や「こなれ感」という言葉があります。
これは、「キメすぎず、リラックスしているのにおしゃれに見える」という意味です。 

真っ白なシャツはカッコいいけれど、少し緊張感が出ますよね。

そこにオフホワイトを持ってくることで、全体がふんわりと柔らかくなり、着ている人の優しさやおしゃれなセンスを引き出してくれるのです。

また、現代でも「サステナブル」への意識が高まる中で、あえて過剰な漂白をしないオフホワイトの服を選ぶことは、今の時代を生きる私たちのスマートで優しいライフスタイルの象徴にもなっています。


特定の定義がないからこそ、無限の優しさで私たちを包み込んでくれる「オフホワイト」。 

それは、100年前に新しい時代の空気から生まれ、50年前には自然を愛する若者たちの味方となり、今も私たちの毎日を心地よく支えてくれている、とても奥の深い「白」の物語なのです。



💡ポイント


なぜ「真っ白」は緊張するの?
知っておきたい『白』の色彩心理


汚れひとつない真っ白(ピュアホワイト)な空間や服を見ると、背筋がシャキッと伸びるような気持ちになりませんか?

色彩心理学において、白には「清潔」「純粋」「新しい始まり」といった、とてもクリーンで爽やかなイメージがあります。
新しいノートの1ページ目を開くときのような、リフレッシュした気持ちをくれる色です。

しかしその一方で、白には「完璧主義」「緊張感」「冷たさ」という心理的効果も隠されています。

実は、真っ白は光を100%跳ね返すため、人間の目や脳にとても強い刺激を与えます。
さらに、私たちの心の中に「少しでも汚してはいけない」という引き締まった心理が働くため、無意識のうちに緊張して疲れを感じてしまうのです。
病院の白衣を見て、どこかドキドキしてしまうのもこの緊張感が原因の一つ。

だからこそ、少し他の色を混ぜて刺激を和らげた「オフホワイト」が日常で愛されるのです。
白の持つクリーンな良さを残しながら、私たちの心をホッとリラックスさせてくれる、人間に一番優しい「白」・・・それがオフホワイトです。



2026/06/18

火山が遺したタイムカプセル

ポンペイアン・レッド


前回に続き、ポンペイの色がテーマです。
西暦79年、ヴェスヴィオ火山の大噴火によって一瞬にして地中に埋もれてしまった古代都市ポンペイ。その遺跡から見つかった鮮烈な赤色の秘密と、この歴史から私たちが学ぶべき大切なメッセージを、一緒に紐解いていきましょう!



ポンペイアンレッドってどんな色?その驚きの特徴



ポンペイアンレッドは、ひとくちで言うと「深みがあって、どこか妖しくも美しい、鮮やかな赤色」です。

古代ローマの人々は、この赤が大好きでした。

お家の中の壁にこの赤を塗ると、部屋全体がパッと華やかになり、リッチな雰囲気になるからです。

当時の最高級のインテリアカラーだったと言えますね。

ここで、前回のテーマ「ナポリの黄色」との驚きの繋がりをお話しします。

近年の科学的な研究によって、衝撃の事実が明らかになりました。

なんと、ポンペイの遺跡に残されているポンペイアンレッドの壁のうち、かなりの数が「もともとは黄色(ナポリの黄色のような黄土色)だった」というのです!

「えっ、黄色が赤に変わるなんてことあるの?」と思いますよね。

実は、黄色い絵の具に含まれる鉄の成分は、強い熱を加えると赤色に変化する性質があります。

ヴェスヴィオ火山が噴火したとき、街を襲ったのは数百度というものすごい熱風(火砕流)でした。

この火山の凄まじい熱によって、お家の黄色い壁が一瞬にして赤色へと焼き上がってしまったのです。

悲劇の大噴火が、偶然にも街全体の壁の色を「黄色」から「赤」へと変えてしまった……これが、火山が繋ぐ2つの色の切ない秘密だったのです。



ポンペイアンレッドの聖地「秘儀荘」との関係


 
そんなポンペイの赤を、最も美しい状態で見ることができる奇跡の場所があります。

それが、ポンペイの街から少し離れた場所に建つ「秘儀荘(ひぎそう)」という大きな別荘です。

秘儀荘は、当時の大金持ちの貴族が暮らしていた、今でいう高級リゾートマンションのような場所でした。

この建物の中にある「秘儀の間」と呼ばれる部屋には、部屋の壁一面に、等身大の人々がズラリと描かれた、ものすごくリアルな壁画が残されています。


「秘儀」とは、当時の秘密の宗教の儀式のことで、ちょっとミステリアスで神聖な、お祭りのようなものです。

この部屋の壁画の背景に塗られているのが、まさに究極の「ポンペイアンレッド」です。

(※ここの赤は変色したものではなく、最初から最高級の赤い絵の具が使われていたと考えられています)

部屋に入ると、360度どこを見ても鮮烈な赤。

その中にリアルな人々が描かれているため、まるで自分も2000年前の秘密の儀式に参加しているような、不思議でゾクゾクするような感覚に包まれます。

この赤があるからこそ、絵画の持つパワーが何倍にも跳ね上がっているのです。




秘儀荘の歴史と、現在のすがた



 これほど美しい壁画が、なぜ2000年近く経った今でも残っているのでしょうか?

秘儀荘は、西暦79年の噴火によって、大量の火山灰の下に完全に埋もれてしまいました。

そこからなんと約1800年もの間、誰にも気づかれずに地下で眠り続けていたのです。

再び人間の前に姿を現したのは、1909年(明治42年)のことでした。

普通、大昔の絵の具は、空気や太陽の光に触れることで、どんどん色あせてボロボロになってしまいます。

しかしポンペイの場合は、降り積もった火山灰が「お布団」や「タイムカプセル」の役割を果たし、空気や光を完全にシャットアウトしてくれたのです。

そのため、絵の具が傷まず、描かれた当時の鮮やかさを保ったまま現代に蘇ることができました。






ポンペイアンレッドという色から私たちが学ぶこと

 

最後に、この「ポンペイアンレッド」という特別な色から、私たちが受け取るべき歴史の学びについて考えてみましょう。

① 大自然の圧倒的な力と、日常の尊さ

この鮮やかな赤は、一瞬にして数万人もの命と街を奪い去った「火山の脅威」の象徴でもあります。

私たちが普段過ごしている、友達とおしゃべりをしたり、家族とご飯を食べたりする「当たり前の毎日」は、実はとても脆く、そして信じられないほど尊いものです。

ポンペイの赤は、「今ある日常を全力で大切に生きよう」ということを、私たちに静かに教えてくれているのではないでしょうか。

② 文化を未来へ守り、繋いでいく責任

もう一つは、人間の文化の素晴らしさです。

大自然の猛威によって一度は消えかけた芸術が、奇跡的に現代へ遺されました。

これを「ただの古い絵」として終わらせるのではなく、最新の技術を使い、みんなで大切に守り続けているからこそ、私たちは今こうして感動することができます。

過去の人が遺してくれた素晴らしい文化を、今度は私たちが次の世代へと大切に引き継いでいく。

それこそが、歴史を学ぶ私たちの役割ではないでしょうか。


秘儀荘の赤について

秘儀荘の「秘儀の間」の壁画に使われているポンペイアンレッドの正体は、「辰砂(しんしゃ)」という天然の鉱物であることが分かっています。

成分で言うと「硫化水銀」、日本でも古くから使われている「銀朱(ぎんしゅ)」という顔料です。

「多くの壁画は火山の熱で黄色から赤に変わった」とお話ししましたが、この秘儀荘の部屋だけは完全に別格でした。

この辰砂という絵の具は、当時はゴールド(金)と同じくらい価値があると言われた超最高級品。

それを、変色ではなく最初から壁一面に贅沢に塗っていたのですから、この別荘の持ち主のすさまじい財力がうかがえます。

古代ローマの「キラキラ」職人技

2004年に行われた分析では、当時の職人たちの素晴らしい工夫も判明しました。

彼らは、細かくすり潰した辰砂の粉の中に、あえて少しだけ「大きめの粒」を混ぜて壁に塗っていました。

こうすることで、光が当たったときに表面がダイヤモンドのように微かにキラキラと乱反射し、2000年経っても色あせない、深みと透明感のある「奇跡の赤」を作り出していたのです。


カラースクールT.A.A
フジタ でした

2026/06/11

太陽と火山が育んだ「ナポリの黄色」

ネイプルス・イエロー



青い海と空のイメージが強いナポリですが、実はアートの世界において、数々の巨匠たちを虜にしてきた特別な黄色があります。
しかもこの色、実は「一度歴史から消え去り、火山の力で奇跡の復活を遂げた」という、映画のようなドラマチックな背景を持っているんです。


 ナポリの黄色とは?



「ナポリの黄色」は、一般的なパキッとした原色の黄色とは異なり、「少し赤みがかっていて、ミルクを混ぜたような、優しくくすんだ黄色」です。

主張が強すぎず、独特の落ち着きと不透明さを持っているため、絵画の世界では「光の当たっている人間の肌の輝き」や、「夕暮れの淡い空の光」を表現するのにこれ以上ない最高の色として重宝されてきました。

巨匠レンブラントも、衣服の美しい刺繍や人物に当たる独特の光を描くために、この黄色を効果的に使ったと言われています。

現代でもファッションやインテリア、コスメのハイライトなど、肌馴染みの良い洗練されたイエローとして愛され続けています。


歴史上最古の人工絵の具の1つ



「ナポリの黄色」という名前から、中世イタリアで生まれた色だと思われがちですが、実はその物質(アンチモン酸鉛)としての誕生はさらに古く、紀元前1500年頃の古代エジプト(第18王朝)やメソポタミア文明の時代にまでさかのぼります。

当時は主に黄色い不透明なガラスやレンガを着色するための絵の具として使われ、その美しい発色は古代ローマ時代にも広く受け継がれていました。

しかし、ローマ帝国の崩壊など激動の歴史の中で、この優れた黄色絵の具の「人工的な作り方(レシピ)」がヨーロッパから完全に失われてしまったのです。
ロストテクノロジー(失われた技術)と言われました。

画家たちが「あの古代の美しい黄色はどうやって出すんだ?」と頭を抱えていた中世〜ルネサンス期。

その救世主となったのが、ナポリのシンボルである「ヴェスヴィオ火山」でした。


運命を変えた、ヴェスヴィオ火山の大噴火



西暦79年、ナポリ湾を望むヴェスヴィオ火山が、凄まじい大噴火を起こしました。

この噴火は、繁栄を極めていた古代都市ポンペイやヘルクラネウムを一瞬にして大量の火山灰と火砕流の下に飲み込み、歴史から消し去った悲劇として世界的に知られています。

しかし、この地球の荒々しい大自然の営みは、破壊だけでなく、後世に思いもよらない「創造」の恵みをもたらすことになります。

地下深くから噴き出したマグマや激しい火山活動、そして長年かけて堆積した火山灰には、鉛やアンチモンといった特殊な鉱物成分が豊富に含まれていました。

人工的な製法が失われて困り果てていた中世からルネサンス期の画家や職人たちは、このヴェスヴィオ火山の麓で、「人工的に作らなくても、古代のエジプトやローマで使われていたものと全く同じ成分の、美しい黄色の土(天然の鉱物)」を奇跡的に発見したのです。

大噴火という壮絶な地球のダイナミズムが、何百年もの時を超えて、失われた古代の色を天然の形で現代に蘇らせた瞬間でした。

「ナポリに行けば、あの素晴らしい黄色い土が手に入る」

そう噂したヨーロッパ中の芸術家たちがこぞってこの地を訪れ、この土を買い求めたことから、この色は敬意を込めて「ナポリの黄色」と呼ばれるようになりました。

これが、この色の名前の由来となりました。



ネイプルス・イエロー vs ジョーヌ・ド・ナープル


この色には、2つの呼び名があります。

日本では英語由来の「ネイプルス・イエロー(Naples Yellow)」と呼ばれることが多く、美術の世界では定番中の定番です。

一方で、フランス語では「ジョーヌ・ド・ナープル(Jaune de Naples)」と呼ばれます。

では、世界的にはどちらがよりポピュラーなのでしょうか?

実は、現代のスタンダードは「ネイプルス・イエロー」という色名です。

国際的なビジネス、JIS(日本産業規格)に登録されている外来色名、そして現代の多くの画材ブランドで一般的に広く使われています。

デザインや日常会話で使うなら、こちらの呼び方のほうが圧倒的に通りが良いでしょう。

しかし、アートや伝統色という文脈になると、フランス語の「ジョーヌ・ド・ナープル」も特別な存在感を放ちます。

かつて芸術の最先端だったフランスの宮廷画家や、19世紀に活躍した印象派の巨匠たち(モネやルノワールなど)は、まさにこのフランス語の響きでこの色を呼び、愛用していました。

そのため、クラシックな高級油絵の具の世界では、今でもあえてフランス語名のまま製品化されていることも多いのです。

響きだけでも、なんだかお洒落なアトリエの香りが漂ってきますよね。


火山が繋ぐ「もう一つの伝説の色」へ


ナポリの明るい陽気さと、火山の神秘的な復活劇が混ざり合って生まれた「ナポリの黄色(ネイプルス・イエロー)」。

現在のナポリ市旗(街の旗)を見てみると、綺麗に「黄色(ゴールド)」と「赤」の2色で二分されています。

この黄色こそが、今回ご紹介した「ナポリの黄色」です。

そして……もう一方の、鮮烈な「赤」。

これは、「ポンペイアンレッド(ポンペイ・レッド)」と呼ばれます。

ナポリの黄色を現代に蘇らせるきっかけとなったヴェスヴィオ火山の大噴火。

その時、時を止められた古代都市ポンペイの遺跡の壁を、今なお鮮やかに彩り続けている伝説の「赤」があります。

そのもう一つの色を、次週ご紹介したいと思います。

お楽しみに!


カラースクールT.A.A
フジタ でした




2026/06/03

温もりとハッピーを届ける色

サーモンピンク



サーモンピンクは、インテリアやファッション、コスメでも定番のこの色。

実は、色の世界において「かなり異色なバックグラウンド」を持っているんです。



始まりは18世紀のヨーロッパ!




サーモンピンク(Salmon pink)という色名が使われ始めたのは、1770年代(18世紀後半)のヨーロッパだと言われています。

日本でいうと江戸時代の中期、田沼意次が活躍していた頃・・・世界的に見ても、かなり古くから定着している色名です。

由来はその名の通り、魚の「サケ(鮭)の身の色」。

実は、色の歴史において「魚の身(肉)の色」から名前がつけられるのは、世界的に見ても極めて珍しいケースなんです。

植物や鉱物、あるいは鳥の羽などから色名がつくことは多いのですが、魚の切り身がそのまま色名になるなんて、当時のヨーロッパの人たちにとって、いかにサケのサーモンピンクが鮮烈で美しい色だったかがうかがえます。

ちなみに日本には、明治以降にこの言葉が伝わり、そのまま「鮭色(さけいろ)」や、少し乾燥してくすんだ「乾鮭色(からさけいろ)」という和訳が生まれました。

しかし、今でも「サーモンピンク」とカタカナで呼ぶ方が一般的ですよね。






サーモンだけじゃない!他にもある「魚」が由来の色



世界的に珍しいとはいえ、長い歴史の中にはサーモン以外にも魚が由来となった色名がいくつか存在します。

  • セピア(Sepia)
カメラの「セピア調」でおなじみの深い茶色ですが、実はこれ、「コウイカの墨」が由来です。
イカは魚類ではなく軟体動物ですが、海の生き物由来の代表格。かつてはこのイカ墨を乾燥させてインクとして使っていました。

  • 魚肚白(ぎょとはく)
中国の伝統色で、日本の暦などでも使われる美しい色名です。
「魚肚」とは魚のお腹(胃腸)のこと。
「魚の白お腹のような、ほんのり青みがかった、透明感のある白」を指します。明け方の東の空の色を例えるときによく使われます。

  • イワシ色・サバ色(背の青い色)
色名として独立して使われることは少ないですが、私たちが日常的に使う「青魚(あおざかな)」という言葉も、魚の体色から生まれた色の表現と言えますね。



よく似ているけれど違う!ピンクのグラデーション




「サーモンピンク」とひとくちに言っても、お店で見かけるピンクには似たような色がたくさんあって迷ってしまいますよね。

サーモンピンクとよく似た、お隣さん的な色相のピンクを比較してみましょう。



サーモンピンク

  鮭の身のような、少し黄みがかった(オレンジ寄りの)ピンク
  優しく温かみのある色



  • コーラルピンク
  「珊瑚(サンゴ)色」
  サーモンピンクよりも、さらに赤みや鮮やかさが強い
  南国の海を思わせる、華やかでポップな印象


  • ピーチピンク
  熟した「桃の果肉」の色
  サーモンピンクより少し白っぽく淡い
  ふんわりとした、ガーリーで甘い雰囲気

  • アプリコット
  「杏(アンズ)」の実の色 
  ピンクというよりはオレンジに近い
  元気でヘルシーな印象が強い





どれも「黄みがかった温かいピンク」という共通点がありますが、鮮やかさや明るさの度合いで印象がガラリと変わります。


色白さん?小麦肌さん?どっちに似合う?




最後に、気になる「どんな人に似合うの?」というお話です。

パーソナルカラーの視点から見ると、サーモンピンクはズバリ「イエローベース(イエベ)」の人。

「イエベ春(スプリング)」や「イエベ秋(オータム)」の人に大得意な色です。

では、「色白の肌」と「小麦色の肌」、どちらにより似合うのでしょうか?

実は、どちらの肌色の方にも、バッチリ似合います!

サーモンピンクの懐の深さはここにあると言っても過言ではありません。

肌の「明るさ」ではなく「トーン(黄み)」に同調するため、どちらのタイプでも魅力的に着こなすことができるのです。


色白さんが着ると……

透明感のある色白(イエベ)の人がサーモンピンクを身につけると、肌にぽっと血色感がプラスされ、「多幸感あふれる、ピュアで可愛らしい雰囲気」になります。

顔色がパッと明るく健康的に見えるのがメリットです。


小麦肌さんが着ると……

ヘルシーな小麦色の肌(イエベ)の人が身につけると、サーモンピンクの持つエキゾチックな温かみと肌のトーンが美しく馴染み、「ヘルシーで大人っぽく、驚くほど洗練されたお洒落な雰囲気」になります。

海外のセレブのような、健康的なセクシーさを引き出してくれます。


サーモンピンクは「色白か小麦肌か」ではなく、どちらの肌も、それぞれの魅力を最大限に引き立ててくれるカラーなのです。


おいしいサケの身から生まれ、250年以上も世界中で愛され続けているサーモンピンク。

優しさと温もり、そして健康的でハッピーなオーラをくれるこの色は、私たちの日常をそっと包み込んでくれる、魔法の色でもあります。

「最近お疲れ気味かも」「優しい気分になりたいな」というときは、ぜひメイクや小物にサーモンピンクを取り入れてみてくださいね。



カラースクールT.A.A
フジタ でした