気品と静寂を宿す色『ウェッジウッドブルー』
2026/10/15英国王室が愛した奇跡の陶器肌
ウェッジウッドブルー(Wedgwood Blue)

1万回以上の実験から生まれた「ジャスパーウェア」
この色の原点は、1759年創業のイギリス屈指の陶磁器メーカー「ウェッジウッド」の創業者、ジョサイア・ウェッジウッドが開発した革新的な炻器(せっき)「ジャスパーウェア(Jasperware)」にあります。
18世紀後半、古代ローマのポンペイ遺跡発掘などを機に、ヨーロッパ全土で「新古典主義」という古代ギリシャ・ローマブームが巻き起こっていました。
ジョサイアは、古代のカメオ(浮き彫り細工)のようなマットで美しい陶器を自分自身の手で作り出そうと決意します。
素地そのものに酸化コバルトなどの鉱物を練り込み、繊細な色合いを出す・・・。
言葉にすれば単純ですが、当時の技術では配合や焼成温度のコントロールが途方もなく困難でした。
ジョサイアは試行錯誤を重ね、なんと1万回を超える実験記録を残した末、1774年、ついに理想の陶器を完成させます。
鉱物の碧玉(ジャスパー)のように硬く滑らかな肌を持つこの器の中で、最も人々に愛されたのが、独特の淡くグレイッシュなペールブルーでした。
この淡青色の素地に白いレリーフ(浮き彫り)を施した優美な器はブランドの代名詞となり、やがてその色自体が「ウェッジウッドブルー」と呼ばれるようになったのです。

英国王室と貴族たちを虜にした「白と青」の革命
ウェッジウッドブルーの登場は、それまでの「陶器=ツルツルした釉薬の白磁」という常識を根底から覆しました。
釉薬をかけない素焼きのようなしっとりとしたマットな質感肌に、ギリシャ神話をモチーフにした純白のレリーフが浮かび上がる姿は、まるで彫刻を持ち歩くような贅沢さでした。
シャーロット王妃をはじめとする英国王室や貴族たちは、その上品な佇まいに熱狂。
貴族の邸宅のサロンの壁、暖炉の装飾タイル、さらにはペンダントやブローチといった宝飾品にまでウェッジウッドブルーが取り入れられました。
「知的で、控えめで、洗練されている」・・・まさに大英帝国の黄金期における理想の美意識を象徴する色となったのです。
清潔感とノーブルな品格を身にまとう組み合わせ
ウェッジウッドブルーは、彩度を抑えたやわらかなスモーキーブルーのため、肌浮きせず、大人の装いに知的な透明感を与えてくれます。
🔷王道のカメオスタイルを再現するなら「白」との組み合わせが一番
最も美しいのは、陶器の意匠そのままに「オフホワイト」や「アイボリー」と合わせるコーディネートです。
例えば、ウェッジウッドブルーのブラウスに白のワイドパンツ、あるいは淡いブルーのニットにパールのアクセサリーを合わせると、清潔感と清楚な華やかさが際立ちます。
🔷ネイビーやグレーと重ねる「洗練のワントーン
ビジネスやきちんとした場では、濃紺(ネイビー)のジャケットのインナーにこの色を差すのがおすすめ。
同系色のグラデーションが生まれ、知的で落ち着いた印象を与えます。
グレーのスラックスやトレンチコートとも相性抜群です。
🔷ブラウンやキャメルで「クラシックなこなれ感
少しカジュアルダウンさせたいときは、キャメルやモカブラウンなどの暖かみのある茶系レザー(バッグやシューズ)と合わせるのがおすすめ。
英国カントリー調のヴィンテージライクな洒落感が引き立ちます。
職人が1万回もの実験の末に掴み取った、奇跡の青。
ウェッジウッドブルーが持つ静けさと品格は、単なるトレンドを超えて、250年以上の時を経た今も私たちの心を惹きつけてやみません。
派手な色で主張するのではなく、澄んだ静けさで周りを魅了する・・・。
背筋をすっと伸ばして凛とした一日を過ごしたいとき、この英国生まれのクラシックな青を、日々のワードローブやライフスタイルに取り入れてみてはいかがでしょう?
カラースクールT.A.A
藤田たかえ でした