ポンペイアンレッドは、ひとくちで言うと「深みがあって、どこか妖しくも美しい、鮮やかな赤色」です。
古代ローマの人々は、この赤が大好きでした。
お家の中の壁にこの赤を塗ると、部屋全体がパッと華やかになり、リッチな雰囲気になるからです。
当時の最高級のインテリアカラーだったと言えますね。
ここで、前回のテーマ「ナポリの黄色」との驚きの繋がりをお話しします。
近年の科学的な研究によって、衝撃の事実が明らかになりました。
なんと、ポンペイの遺跡に残されているポンペイアンレッドの壁のうち、かなりの数が「もともとは黄色(ナポリの黄色のような黄土色)だった」というのです!
「えっ、黄色が赤に変わるなんてことあるの?」と思いますよね。
実は、黄色い絵の具に含まれる鉄の成分は、強い熱を加えると赤色に変化する性質があります。
ヴェスヴィオ火山が噴火したとき、街を襲ったのは数百度というものすごい熱風(火砕流)でした。
この火山の凄まじい熱によって、お家の黄色い壁が一瞬にして赤色へと焼き上がってしまったのです。
悲劇の大噴火が、偶然にも街全体の壁の色を「黄色」から「赤」へと変えてしまった……これが、火山が繋ぐ2つの色の切ない秘密だったのです。