「ブロンド(Blond / Blonde)」は最初から「髪の色」を表すために生まれた言葉です。
この言葉のルーツは、中世の古いフランス語やラテン語にあります。
もともとは「黄色と赤の中間の色」や「染められた色」を意味する言葉だったとされています。
ところが15世紀の終わり頃に、英語圏に伝わったときには、すでに「淡い黄色、あるいは栗色の髪」を指す言葉として定着していました。
つまり、ゴールド(金色)が「金属の輝き」から生まれた色名であるのに対し、ブロンドは最初から「人間の身体が持つ、美しく淡い輝き」を表現するために作られた、極めてパーソナルな色名だったのです。
「髪の色」として生まれたブロンドですが、現代ではその上品で柔らかな色合いから、ファッションやインテリア、さらには食の世界でも使われるようになっています。
- ブロンドウッド(木材): メープルやアッシュなど、白っぽく明るい色味の高級木材を指します
- ブロンドレース(レース生地): シルクで作られた、未漂白の自然な淡い黄色のレースのこと
- ブロンドビール(エール): 黄金色に輝く、すっきりとした味わいのビール
- ブロンドチョコレート: ホワイトチョコをじっくり加熱してキャラメル化させた、第4のチョコレート
ギラギラとした金色(ゴールド)よりも、「優しく、少しクリーミーで、透明感のあるモダンな薄黄色」を表現したいとき、デザイナーや職人たちはあえて「ブロンド」という言葉を選ぶというのも、うなづけます。
世界中で愛されるブロンドヘアーですが、実は世界人口全体で見ると、天然のブロンドを持つ人はわずか2%前後しかいないと言われる非常に希少な色です。
では、そんな希少なブロンドヘアの人々が最も高い割合で暮らしているのはどこでしょうか?
それは、ヨーロッパの最北部、「北欧(スカンジナビア半島)の国々」です。
特にフィンランド、スウェーデン、ノルウェーなどの国々では、人口の大部分(一説には7〜8割以上)が天然のブロンドヘアを持っています。
これには、北欧の厳しい気候が関係しています。
日照時間が極端に短い北欧では、限られた太陽光から効率よくビタミンDを体内で合成する必要がありました。
そのため、メラニン色素が薄く進化した結果、肌が白くなり、髪も明るいブロンドになったとされています。
「ブロンドの髪に、吸い込まれるようなブルーの瞳」。
映画などでよく見るこの組み合わせですが、実はこれには科学的な必然性があります。
髪の色と瞳の色(虹彩の色)は、どちらも「メラニン色素の量」によって決まります。
メラニン色素には、紫外線から体を守る役割がありますが、遺伝的にこの色素の量が少なくなると、髪は黒から茶色、そして「ブロンド」へと明るくなります。
これと全く同じ現象が瞳の中でも起こるため、メラニンが少ない人は瞳の色も薄くなり、ブルーやグリーン、グレーになりやすいのです。
つまり、「ブロンドの髪」と「明るい瞳の色」は、同じ遺伝的なルーツから生まれた「光を透過しやすい、兄弟のような関係」。
だからこそ、私たちはその組み合わせに自然な調和と美しさを感じるのですね。
インディゴブルーが「自分色に育てる未完成の青」だったように、実はブロンドもまた、時間とともに変化する繊細な色です。
天然のブロンドの多くは、子どもの頃に最も明るく、大人になるにつれて少しずつ落ち着いた栗色(ハニーブロンドやアッシュブロンド)へと変化していきます。
単なる「黄色」や「金色」の一言では片付けられない、人間の生命の神秘と、北欧の澄んだ光の歴史が織りなすのが「ブロンド」なのです。
カラースクールT.A.A
フジタ でした