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名前が変化したフューシャピンクへの思惑

2026/02/18

フューシャピンク

名前が変わったのは何故?





この鮮やかな青紫色のピンク、「マゼンタ」と呼びますか?「フューシャ」でしょうか?


実はこの2つの色名、色の世界では「ほぼ同じ」とされることもあります。


だけど、その成り立ちを紐解くと、人間の思惑によって運命に翻弄された、隠れた物語があるんです。



始まりは、一輪の「花」から


物語の舞台は17世紀のカリブ海。



フランスの植物学者が、下向きに咲く愛らしい花を発見しました。



彼は尊敬するドイツの植物学者レオンハルト・フックスにちなんで、その花を「フューシャ」と名付けます。


やがて19世紀、化学の力が進化し、石炭タールから鮮やかな赤紫色の合成染料が発明されました。



その色がフューシャの花にそっくりだったことから、染料は「フクシン(フューシャの色)」と命名されます。



これが、私たちが知る「フューシャピンク」の誕生の瞬間でした。



戦争が変えた「色の名前」


しかし、そのわずか1年後、歴史を揺るがす出来事が起こります。



 1859年、フランス・サルデーニャ連合軍がオーストリア軍に劇的な勝利を収めたのです。


これは、イタリア独立戦争の中で、特に重要な位置を占め、その地にちなんで『マゼンタの戦い』と言われました。

このニュースに世界中が沸き立つ中、染料メーカーが、ある大胆なマーケティング戦略を打ち出します。



最新の流行色だった「フクシン」の名前を、戦勝記念の地名にあやかって「マゼンタ」へと塗り替えてしまったのです。


すでに、人気の色であった「フューシャ(フクシン)」が、ある日突然、マゼンタという新しい名前に変えられた、という事実がその後の混乱の元になります。





現代における「2つの色」の結論


では、現代においてマゼンタとフューシャピンクは同じ色なのでしょうか? 


結論から言えば、私たちはこの2つを「別の色」として扱ってよいのだと、私は思います。


なぜなら、そこには明確な「役割」の違いがあるからです。


  • マゼンタ(#FF00FFなど): 印刷やデジタルの世界を支える「基準」の色。正確で無機質な、科学の目線で見た色です。

  • フューシャピンク(#CC1669など): 庭園に咲く花のような、生命力と華やかさを宿した色。ファッションや感性の世界で愛される、情緒的な色です。


現在は、この2つの色が混同されて使われています。



マゼンタという色名がついている商品に、フューシャピンクの色が使われていたり、全く同じものといった記述がみられたり‥‥‥。



けれど、数千年の時を経て愛されてきた「花の色」としてのフューシャと、歴史の荒波の中で名付けられた「勝利の色」としてのマゼンタ。


2つの名前を持つこの色は、今もなお、カラーコードという数字の枠を飛び越えて、私たちの目を楽しませてくれています。



どちらも必要な色として、名前を呼び変えて扱うことが、色にとっての幸せなのではないかと思うのです。