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坑道の妖精「コボルト」が隠した青の魔力

2026/01/17

坑道の妖精「コボルト」が隠した青の魔力


コバルトブルー(Cobalt Blue)


コバルトブルーの鮮やかさ‥‥‥。
この色は、高貴で知的な印象を与える青ですが、実はその名前の裏に、
ドイツの深い銀山に住むという、いたずら好きで少し厄介な妖精の物語が隠されているんです。


銀山を彷徨う妖精「コボルト」の呪い


「コバルト」という言葉の語源は、ドイツの民話に登場する精霊や妖精「コボルト(Kobold)」にあります。


中世ドイツの、ハルツ山地などの鉱山で働く人々にとって、コボルトは恐ろしい存在でした。

銀を掘り当てようと汗を流す鉱夫たちの前に、銀によく似た、金属が現れることがありました。


だけど、これは精錬しても価値のない金属(コバルト鉱石)でした。

しかも、この鉱石は精錬の過程で有害なガス(ヒ素など)を出し、鉱夫たちの健康を損なうこともあったのです。


鉱夫たちは、

「これは山に住むいたずら者の妖精コボルトが、価値のある銀を盗み出し、代わりに偽物の金属を置いていったのだ」

と信じ、その厄介な鉱石を「コボルト(コバルト)」と呼ぶようになりました。






 呪いから「至高の青」への転生


こうして厄介者として忌み嫌われていたコバルトでしたが、18世紀から19世紀にかけて変化が訪れます。


この鉱石から抽出された成分をアルミナ(酸化アルミニウム)と焼成することで、その運命が劇的に変わったのです。


科学のチカラでできた、近代絵画に欠かせない「コバルトブルー」の誕生です。


この色は、それまでのどんな青よりも純度が高く、光に強く、そして鮮やかな青でした。


坑道の暗闇で人々を困らせていた妖精の名前が、芸術の世界で最も賞賛される「光り輝く青」の名前になった……。


ドラマチックな逆転劇ですね。



芸術家たちを虜にした透明感


この新しい青は、印象派の画家たちを熱狂させました。

ルノワールは「空の青」を描くためにこの色を多用し、モネは水辺の揺らぎを表現するためにこの青を走らせました。


コバルトブルーの最大の特徴は、その「透明感のある鮮やかさ」です。


重苦しさがなく、どこまでも突き抜けるようなその色彩は、まさに妖精が魔法をかけたかのような、不思議な魅力に満ちています。


かつては「銀を盗む呪い」と呼ばれた色が、今では「世界を彩る至宝」として私たちの目を楽しませてくれている。


その背景を知ると、この深い青が少しだけミステリアスに見えてきませんか?




カラースクールT.A.A
フジタでした