2021/7/30
今年は、新潟県十日町市の織商さんが
過去に制定された『季の色』をテーマにお届けしています。
8月は『夢見昼顔(ゆめみひるがお)』
こんな色です。
そういえば、子どもの頃、夏休みの宿題に『朝顔の観察日記』というのがありました。
毎朝、水を遣りがてら花の数を数えたり、絵を描いたり・・・。
父が花を育てるのが好きだったので、家にはたくさんの朝顔の鉢があり、大輪の花を咲かせていました。
「私のは、花が小さい・・・・。」と拗ねると
「朝顔は、江戸時代から品種改良がされてきてるから、種類がいっぱいあるんや。こっちとそっちは、種類が違うだけや。」
などと、慰められたことも懐かしい思い出です。
その朝顔は、奈良時代末期くらいに大陸から『薬草』として伝えられたもの。今のように鑑賞する花として改良されたのは、江戸時代になってからです。
その、もっと古くからあった昼顔は『容花(かおばな)』という名で、雑草として馴染んでいたようです。
『容花』とは、その容姿が美しいということを表現したもので、すでに万葉集にも載っている花。
高円の野辺の容花おもかげに 見えつつ妹は忘れかねつも (大伴家持)
(高円山の野辺に咲く『容花』は、まるで、忘れられないあの人のようです)
よく似た花に『夕顔』があります。
源氏物語に、はかなくも美しい想われ人として、光源氏と一夜を共にする女性のイメージがぴったりの花!!
朝顔、昼顔、夕顔、(夜顔も含めて)、ヒルガオ科ではないのは、この夕顔だけです。
夕顔はウリ科・・・そういえば、きゅうりなんかの花に感じが似てる!!こんなこというと、情緒はないけど。
朝顔、昼顔、夕顔・・・別に夜顔というのもあります。
これらは全て、夏に咲いていますが、俳句の季語になる時期は微妙にずれています。
昼顔 仲夏
夕顔 晩夏
夜顔 初秋
朝顔 初秋
えーー?朝顔って、秋???
と驚いちゃいますが、これは、旧暦で考えられたこと。
今でいうなら8月。
しかも旧暦の七夕の頃に咲くことから「牽牛(けんぎゅう)花」と呼ばれることもあったとか。
昔の人が少しの季節の変化を大事にしてたんだなあ、
それを感じる感性を日常として、当たり前に暮らしてたんですね。
今を生きるわたしたちにも、そういった感性・こころのゆとりが欲しいですね。